□ 07 都市ガス・プロパン・オール電化 比較するとどうなる? □

お部屋探しの条件で「都市ガス」の方が「プロパンガス」より安い、「ガス」より「オール電化」の方が安く済む。ということで希望される方は多いです。

果たして本当に安いのか?というお話です。(まぁ~その通りなんですけど)

まずは、ガスについての基本情報から

プロパンガスの方が都市ガスよりも1.5倍は料金が高いです。

仙台では、プロパンガスの方が圧倒的に多いので、都市ガス指定すると物件はかなり絞られます。

意外と考えたことがないかと思いますが、都市ガスとプロパンガスはそもそもガスの種類が違います。都市ガスは液化天然ガス・プロパンガスは石油ガスです。

その為、都市ガス用のガスコンロとプロパン用のガスコンロは似て非なるものなので使えません。(都市ガスとプロパンガスではガス自体が違うので。)

賃貸の場合、プロパンを都市ガスへ、物件指定のプロパン会社から別のプロパン会社へ、都市ガスからプロパンへはすべて変更は不可です。

生活で使用されるのは入居者さんですが、あくまで建物の所有者は大家さんです。ガス関係も設備として提供していますので、ほかの設備(たとえば追い焚きや浴室乾燥機など)と同様にそれを踏まえてた上でご契約頂くしかありません。(浴室乾燥機が欲しいからつけてくれとはいいませんよね?)

都市ガスは地中にガス管を通して建物へ配管するのに対して、プロパンガスは業者がガスボンベを交換して回ります。

※ちなみに賃貸でなければ、都市ガス→プロパン、プロパン→都市ガスも状況次第で可能です。ガス✖→オール電化へも大丈夫です。ただしもちろんですが結構なお金はかかります・・。

システム上、災害時にはプロパンガスの方が復旧は早いです。都市ガスはガス管点検などで復旧に時間がかかります。

簡単に違いを記載しましたが、詳細な金額の違いについて調べたものをここから記載していきます。長くなりますので、知りたい方向けです。

↓↓↓

費用についてお話するにあたりシステムの話もしなければなりません。

ということで、

〇 都市ガス(液化天然ガス)とプロパンガス(石油ガス)について

まず供給の方法は、先に書いた通り、都市ガスは土地・建物へのガス管の引き込みが必要になります。前面道路の工事等が必要な為、その工事費用が結構かかります。一方、出来上がってしまえば、ガス管を通ってガスが供給されるので費用はあまりかかりません。

プロパンは、設置する場所を用意する・建物に配管をするだけで、前面道路等の工事は不要な為、導入時にはあまり費用がかかりません。一方、供給はガス業者がボンベの交換に回るので人件費等がガス料金に上乗せになります。

プロパンガス業者は各プロパンガス販売店毎に仕入れ価格や人件費、利益を考えて自由に料金を設定しています。プロパンガスの適正価格というものは特に設定されていない。ガス料金が適正かどうかは判断しずらいことです。(プロパンガスの料金は公開していない業者が多い。)

この辺りが、単純にプロパンが高い理由にはなります。

さらに、ガス自体が違うと書きましたが、都市ガスとプロパンガスでは熱量(Kcal)が異なります。一般的には都市ガスよりも約2.2倍ほどプロパンガスの方が熱量が多いです。(例えば、同じ温度に上げようとすると、約2.2倍都市ガスの方が多く使うということ)

都市ガス 1㎥あたり約11000Kcalの熱量

プロパン 1㎥あたり約24000Kcalの熱量

※約2.2倍の熱量だからと言って、お湯の沸くスピードに違いありません。(機器がそのようになっているので。キッチンの力はプロパンの方が強かったりするらしいです。)

それでは、実際にどれだけの違いがでるのか、計算してみます。

まず、日常的にガスの使用料が多いのは、『風呂』『ガスキッチン』の2つです。

〇 お風呂

お風呂はサイズによってユニットの大きさ(お湯の容量)が違います。

                  ↑ 風呂サイズの表記 参考画像

戸建のバスタブ(目いっぱい入れた場合)の代表的なサイズと容量は、

1坪タイプ 1616( 160cm×160cm)容量 260~290L程度あたりです。

他には、0.75坪タイプ(1216)220~250L程度、1.25坪(1620)で320~340L程度、1.5坪(1624)で350~440L程度の容量があります。

※マンションタイプの場合、構造の関係で代表的なユニットサイズはかわり、(1418)や(1620)が多く使用されています。

賃貸のシングルバスタブでは、(1014)(1016)(1116)(1216)あたりです。

物件によってかわるので、シングル向けのバスタブで200Lのお湯を沸かす場合で試算します。

1リットルの水を1℃上げるには1Kcalの熱量が必要です。水道水の常温は時期で変わりますが大体10℃~20℃の間くらい、中間をとって15℃とした場合に、

15℃の水を42℃まで200L分上げるには、27℃分×200L=5400Kcal

都市ガスは、1㎥あたり約11000Kcal(10750Kcal)の熱量があり、

プロパンは 1㎥あたり約24000Kcalの熱量のがあります

都市ガスの場合は、5400Kcal÷10750Kcal=0.502㎥のガスを使用で目標の温度に達します。

仙台の都市ガス料金は0㎥から20㎥まで165.78円/㎥(都市ガスは料金出ていました)なので、165.78円×0.502㎥=約83.2円がお風呂1回分の使用料金になります。

(厳密には月々固定で基本使用料がかかるので、それも1日分入れるとより正確です。上の基準でいくと、636.12円が基本料なので約21.2円プラスです。)

よって、毎日お風呂に入った場合は、83.2円×30日+636.12円=3132.12円が風呂にガスを使った際の月額費用です。(ガスの使用量は、1回あたり0.502㎥なので、×30日で15.06㎥分使っています。)

次に、プロパンガスの場合ですが、先に記載した通り、業者によって料金が変わります。ホームページに料金を掲載しているプロパンガス会社の金額でなんとなくの平均を取りました。

基本料1600円 従量料金550円

お風呂1回分の使用量は、プロパン1㎥あたり約24000Kcalの熱量があるので、5400Kcal÷24000Kcal=0.225㎥のガスを使用

550円×0.225㎥=123.75円がお風呂1回分の使用料金です。(都市ガス同様、基本料も入れると約53円プラスになります。)

毎日入る場合、123.75円×30日+1600円=5312.5円がガスを風呂にだけ使った場合の月額費用です。

都市ガス:約3132円・プロパン:約5312円なので、差額としては、約1.5倍程、世間で言われるようにプロパンの方が高い計算になります。(あくまでも大体の金額での料金試算です。業者によって金額が変わりますので参考値です)

ちなみに公開しているところでこのような感じです。

仙台プロパン 基本料金1600円 従量料金 570円×使用㎥=金額+消費税

トーホクガス 基本料金1600円 従量料金 530円×使用㎥=金額+消費税

プロパンガスの料金形態はいくつかあるようなので、それによっても上の計算と式が変わる可能性はあります。

・二部料金制 基本料金+(従量単価×使用量)

・スライド制 基本料金+(従量単価×使用量)・・使用量に応じて従量単価が変動する

・三部料金制 基本料金+(従量単価×使用量)+設備利用料金

・原料費調整制度 基本料金+(従量単価×使用量)従量単価が原料費によって毎月変動

 

〇 ガスコンロ

次に、ガスコンロを使用した場合、計算式はこのようになるようです。

ガスコンロのガス代=出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量(MJ/㎥)×ガス料金(円/㎥)

1kW=3.6MJ/h,ガス発熱量は都市ガスで45MJ/㎥(10,750kcal),プロパンガスで99MJ/㎥(24,000kcal)ということらしいので、

都市ガス :165.78円/㎥  プロパン 550円/㎥

Ex. 某メーカーさんのキッチン出力で試算(メーカー・機器によって出力が変わるので一例です。)

都市ガスで強火で1時間料理をした場合

強火3.5(KW)×3.6MJ×1h÷45MJ/㎡×165.78=約46.41円

プロパンガスで強火で1時間料理をした場合

強火3.5(KW)×3.6MJ×1h÷99MJ/㎡×550=約70円

ガス使用量は、1㎥あたりの発熱量(MJ)計算なので、×30(日数)で

都市ガス:約1392円・プロパン:約2100円なので、差額としてはやはり約1.5倍程、プロパンの方が高い計算になります。

もっとも強火で1時間はあまりないと思うので最大値でもこれくらいとお考え頂ければよいのではないかと思います。

〇 オール電化と都市ガスでは

IHの電気代計算してみます。

電気料(月額費用)の構成は下のようになります。

基本料金+電力量料金(電力量料金単価×1ヵ月の使用量(円×KWH)から燃料費調整額足し引きしたもの)+再生可能エネルギー発電促進賦課金

(ex.30A 200KWH ・・ 基本料金918円+電力量料金4174円+再エネ590円+雑費= 5790円)

東北電力では、120KWまで18.24円、120以上200KWまで24.87円となっています。

電気については、契約プラン(深夜電力が安くなるなど)で変動するのでこちらも参考値としてお考え下さい。

と、いうわけで単価21.5円でとりあえず計算してみます。

オール電化の物件の代表は、エコキュートです。(性能はメーカー・機種によって違いがあります)

エコキュートは、電気の他に空気の熱も利用してお湯を沸かすシステムです。その為、消費電力を少なく抑えることが可能です。空気の熱も利用するので、気温によって消費電力は異なります(夏場と冬場では特に全く違います。)

電気料の計算式はこんな感じです。

消費電力(kW) × 使用時間(h) × 電力量料金 = 電気代

あくまでも一例として、例えばカタログスペックで370Lタンク・通常0.95KW、冬は1.5KW、平均12.25KWのエコキュートで、1日3.5時間稼働させたとすると、

1.225KW×3.5h=4.2875KWH が1日に必要な電力量になります。

1ヵ月では4.2875KWH×30日=128.625KWH です。

128.625KWH×21.5円(電力単価)=約2765円 が、給湯に使う電気料です。

1日あたり約92円です。

ガス同様、IHコンロを強火で1時間使った際の電気料は、

(強火/3000W)中火/1000W)(弱火/500W) ※1KW=1000W

3KW×1×21.5=64.5円  これが1回の電気代になります。

ちなみに、IHコンロでガスと同等の熱量を生み出す場合、ガスの10倍の火力が必要になるそうです。

もう一つ、ガスを使わずに温水を作るシステムで 電気温水器 があります。

エコキュートが周囲の熱も使うのに対して、電気のみでお湯に変えます。(室内に温水器がある間取りはこれです。)ここでも、各メーカー・機器によって違いがでるので一概には言えませんが、

これについては各メーカー・機器によって違いが出るので、一概には言えませんが、基本的に電気料の安い深夜電力を使ってお湯を沸かすして貯めておくので、電気料は抑えられます。ただし、夜間や朝のお湯を沸かしている時間に温水を多く使うと、夜にお湯が無くなります。(1K1Rであれば100L、200Lタンクが一般的かと思います。)新しいものだと無くなったタイミングで沸かすことができるものもあるようですが、昔の物件に入っているものは融通が利かないので我慢するしかありません。使う際には注意が必要です。

〇 ちなみに給湯の方式について

電気温水器

貯湯式 ・ 温水器内の水を電気ヒーターで加熱して温水に変える。(イメージはポットでお湯を沸かす感じです。)

ガス給湯器

瞬間湯沸かし器 ・給湯器の中の金属パイプの中を水が通行している間にガスで熱すし温水に変えるシステム。

〇 追い焚き について

追い焚きは、お風呂に入れたお湯が冷めたとき、ボイラー(給湯器内)等へ戻し、循環させて再度温めなおすシステムのことです。

お風呂の光熱費が節約できるということで、お二人以上でお住まいの方で好まれる傾向にあります。実際、お湯はそのままなので、水道料は節約できます。再度温めなおすので水温次第の光熱費はかかります。

一口に追い焚きと物件資料に記載しますが、方式が違うものがありますので注意が必要です。

・高温差し湯式

高温のお湯を追加してお風呂の温度を調整するシステムです。

お湯が冷めすぎた場合は、お湯を捨てないとぬるいかもしれません。

費用面では追加するので水道料が追加でかかり、温めたお湯をいれるので光熱費も追加分かかります。入れなおすのよりはかかりませんが、循環式よりはかかります。

・循環か差し湯式かを現地で見分ける場合

1.給湯器のリモコンがあるかどうか

追い焚きのボタンがあれば追い焚き可能な機器ではあります。(差し湯式ではない)

2.給湯器に接続されている配管の数

給湯器に確実についている管は、「給湯」「給水」「ガス」の3つ、追い焚きの場合、風呂場から循環させた水を温める為にもう一つ管が必要なので4つ接続されていれば追い焚きです。

3.管理会社に聞く、わからなければ、給湯器の型番からメーカーへ問い合わせ。

追い焚きの有無で物件がかなり限られる可能性がありますので頻度が多くないようでしたら外してしまっても問題ないかと思います。

追い焚き有り・プロパンより追い焚き無し・都市ガスの方が安いのでは?というくらいの違いしかないかもしれません。

圧倒的に使用頻度が高いようでしたら、あった方が間違いなく良いですが。

最後にシャワーの場合

1分間に10L、10分出しっぱなしで100Lの水を使います。

節水ヘッドやシャワーヘッド等、最近テクノロジーで1分6Lとか少ないこともあるが意外と温水使います。使わないときは止めるなどして頂くと費用の節約になりますので、意識して生活頂ければと思います。(費用はお風呂を参照下さい。)

以上で、光熱費関係のお話は終了です。ご覧頂きありがとうございました。

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