予算をいくらまでと定めたら、あとは 【何を】【どこで】買うか決めるだけです。
ここでは物件の種別毎に違いを記載します。
『何を買うか』『どこで買うか』の内、優先度の高い方があればそちらを基準に、もう片方を相場に併せて実現可能なもの(場所)を選ぶ形になります。
建物としての説明~どういうものが欲しいか~
戸建であれば、新築の注文住宅、新築の建売住宅、中古戸建(注文住宅・建売住宅)・マンションであれば、新築マンション、中古マンションのどれを買うかです。
まず、戸建とマンションを比べた場合のメリット・デメリット
〇 戸建の良いところ
・土地、建物が購入の対象になる。(借地でなければ)
建物はいくら良い建物でも、減価償却が入ります。建物には構造によって、法定耐用年数が設定されています。代表的なもので、軽量鉄骨造 19年、木造 22年、鉄骨造 34年、RC(鉄筋コンクリート)造 47年です。
ちなみに軽量鉄骨造というのは鉄骨造の一種で、骨格材の鉄骨の厚みが3mm以下の建築物です。3m~4m以下の場合、耐用年数は27年になります。戸建にも多く用いられており、ハウスメーカー独自の工法で建築されます。耐用年数はメーカーに確認をした方が良いでしょう。
耐用年数が過ぎたからと言って、住めないというものではありませんが、一定の目安にされます。(もし売却を検討される場合は、単純に法定耐用年数で決まるわけではなく、「物理的」「機能的」「経済的」要因によって、残存価格が設定されます(経済的残存耐用年数)。仮に全く同じものが2棟建っていたとしても、居住者の使用状況によって残存価値はかわります。よくメンテナンスをして使用していた建物とただ雑に使っていたものでは客観的に違いがでるのは当然です。(建物の鑑定評価では、経過年数よりも経済的残存耐用年数に重点がおかれます)
このように、法定耐用年数を超えたからと言って、直ちに建物の価値が0になる(売却する際の価格としては)わけではありませんが、確実に価値は下がり、最終的には0になります。古屋付きの土地として売り出されているようなものがこれです。
土地に対しては、減価償却がありません。土地は土地です。購入して数十年後に売りに出すことになった場合も土地の価値は相場通りのまま維持されます。マンションは建物の価格がほぼ購入価格となる為、将来的に売却を考える場合は、同じ金額で戸建とマンションを買ったとすれば、将来的に戸建の方が価値は残ります。
その為、資産価値の面で、土地付きの戸建を買った方が将来的にメリットになります。
また、購入後、維持する為にかかる費用でも戸建の方がマンションよりも費用はかかりません。
マンションの場合、管理費、修繕費の積み立てをする必要があり、住宅ローンの他に、月々その金額も払わなければなりません。また、駐車場が必要な場合は台数分を契約する必要があり、その費用もかかります。管理費は建物の日常の管理、点検(清掃・エレベーターの点検・共用部分の光熱費等)に使用し、修繕費は建物が古くなるにつれ必要となる修繕の為に積み立てられます。
購入当初の管理費・修繕費がそのままかというとそうでもなく、築年数の経過に併せて値上がりしていきます。古くなればその分修繕が必要な箇所がでくるのはもちろん、大規模修繕も実施されます。修繕費が使用されれば、次回以降不足する可能性が高いので管理組合の決議で定期的に値上げが実施されます。新築のマンションでは、売り出し時の管理費・修繕費を安く設定されていることも多いです。その際は将来値上がりは余儀なくされるでしょう。世帯の多すぎるマンション・逆に世帯の少ないマンションのどちらもこのリスクは高いです。
それなりに築年数の経ったマンションの管理費・修繕費は、管理費10000円・修繕費15000円くらいはかかるイメージです。これに駐車料がかかるので、支払いは、住宅ローン+3万円くらいです。
仮に、月々3万円返済の住宅ローン(金利0.6%・35年ローンで試算)を組んだ際の融資額は、1136万円です。
つまり、月額の総支払額は、戸建で1136万円分も高くなる計算です。逆に言えば、月々の総支払額を戸建と同じにしようとすると、戸建よりも約1000万程安いマンションを検討する必要がでてきます。
〇マンションの良いところ
まず一番のメリットは、立地の良いところにも購入することができる点です。(主に駅近など土地の相場が高いところ)
戸建の価格は、土地+建物で構成されているので、土地の相場が高いエリアで購入しようとすると予算的に難しい場合がでてきます。ほぼ建物の金額だけのマンションであれば立地が良くても土地の持ち分が微々たるものなので、土地分の価格が高額になることは少なく、購入できる可能性がでてきます。立地が絶対的に優先であれば、マンションを検討する方が良いかもしれません。(もちろん決まった予算が高い方は戸建でも実現できる可能性はあります)
あとは、最近の分譲マンションはセキュリティーや設備・共用部分の豪華さなどグレードが高いので、セレブ感もあります。必要かどうかは別にして。
もう一つは、管理に手間がかからないという点です。
戸建の場合、建物や敷地内の管理は自分でやらなければなりませんが、マンションは管理費を支払っている分で共用部分については維持管理をしてもらえます。戸建で庭の手入れが大変など、ご高齢の方で戸建からマンションに移られる方も多くいらっしゃいます。(将来そうなった場合でも戸建を売却して、買い替えの費用にもできるので、若いうちは戸建の方が有利ではある気がしますが・・。)
また、中古のマンションの場合、収入の面から高額の借入が難しい場合でも購入できる可能がでてきます。ローンの他に、月々かかる費用はありますが、返済が済んだ後は、同じ間取りの賃貸物件を借りる家賃よりもずっと安い金額で住むことができます。(中古の場合、必要に応じてリフォーム費用は必要です)
大きな違いはこんなところです。
仙台においては、戸建を買った方が良いとは思います。(個人的な意見では)
資産価値の面で、将来的に現金に変えることができる保険としても機能しますし、立地面のメリットについては、東京などとは違い、どこでも電車に乗れば辿りつけるという状況でもなく、日常生活において車が必須です。駅まで歩いて使えることのメリットはそこまで多くないと思うので、通勤の手段が確保できるようであれば戸建をメインに検討された方がよいと思います。エリアにこだわらなければ駅徒歩圏内で購入可能な場所もあります。
もう一つの要素として、新築を買うか中古を買うかという2つがあります。
先に説明を記載した通り、建物には耐用年数があります。その為、新築よりも中古住宅の方が建物分安くなります。建物分が安くなることで、その分の費用を土地に回すことができるのでより良い立地のものも予算内に入る可能性がでてきます。これについての個人的な見解はありますが考察は長くなりそうなので、別ページに記載します。ここでは簡単にだけにしますので詳細は別でご確認下さい。 △ △
ただし、中古を買う際の注意点ですが、基本的には現状渡しになる点です。特段の取り決めが契約時になければ、ありのままでの引き渡しになります。先に記載した通り、建物の価格は、残存価値を査定して設定していますので、現状の価格がこれということです。
とはいえ、購入された方がそのままお住まいになるか、というとそういう方はあまりいません。最低限、修理交換が必要な箇所のリフォームは必要になります。機能的に問題が無くても、お風呂やキッチン、トイレなどは新しいものに交換したい、フローリングを貼りなおしたいなど手を付ける方が多く、リフォーム費用は全体で数百万円くらいは見ておいたほうがよいかと思います。
特に、水回り関係はそれ自体の金額が比較的高額になるので、リフォーム費用も相対的に上がります。1箇所あたり数十万円、数百万円な単位です。メーカー品なので展示場や資料取り寄せなどでグレードを確認しつつ、予算におさまるように注文するのが良いかと思います。
また、業者が買い取り販売している戸建についてはリフォーム済みで販売されていることも多いです。その分は建物価格に組み込まれている為、+αの費用をかけずに中古物件を購入したい場合はそのようなものを狙うのも良いかと思います。(価格はリフォーム代含むなのですごく安いということもありません。リノベーションという室内総取り換えの物件はおしゃれなこだわりのつくりですが、新築に近いくらいの価格になっていることもあるので、ものによって判断して下さい。)
大手メーカーで建てられた注文住宅(中古)をリフォームして住むのが良いという方もいます。新築で建てると高額になる大手メーカーの建物ですが、中古で購入すれば、費用は安く収まります。土台はそのままに内装や設備をリフォームすれば、新築とローコストの建物を比べて安心感があるということかと思います。知り合いに工事屋がいれば、リフォームも安く収まったりしますので一つの考え方として有りかと思います。
大手メーカーの建物がそこまでいいのか、というところは良くわかりませんが、△ 個人的な考察 △ で考察していますので、参考にしてください。
ちなみに、築浅の中古をお求めの方が結構いらっしゃいますが、基本的に難しいです。
そもそも購入の際に大半の方は住宅ローンを組んで購入します。築が浅い段階で手放すということは、その分のローンが残っているということです。当然ローン残高を基に売却価格を設定するので安くはありません。築浅であれば、支払いは数年分なので新築と大差がない程しか変わりません。それにリフォーム費用をかけるくらいであれば新築を買った方が良いかと思います。(エリアが決まっていて、どうしても予算に合わない場合は話はかわりますが)
新築については、注文住宅と建売住宅の2つにわかれます。
注文住宅は、気に入ったメーカーで一から建築をする方法です。メーカーによって建物の工法、建築費用がかわります。どのような建物かは、住宅展示場などで確認するのが一般的です。(ただし、住宅展示場の建物をそのまま建てようとするとかなり高額になります。そもそもの床面積が広いのと、おしゃれにする為にオプションてんこ盛りだったりする為です。大体のイメージや機能面を担当に聞くくらいにしておいたほうが良いかとは思います。)
注文住宅の利点は、自分の好きなメーカーで好きなように建物を建てられることにあります。間取りをどうするか、設備を何を選ぶかなど、設計の先生と打ち合わせをしつつ、建物を完成させる楽しさがあります。(お金に糸目をつけないようなら、こだわりの建物をこだわりの立地で徹底的に作ることもできます。お金に糸目をつけなければですが・・。)
注文住宅を建てたい場合、土地については、別で用意する必要があります。各メーカーで持っている建築条件付きで予算・希望にあうものがあるのがベストです。
建築条件付きの土地は、すでにメーカーで建物を建てられる状況まで出来上がっていて、かつ相場よりも土地の価格を低く設定していることが多い為です。
ない場合、土地を別で探してそこに建築をするのですが、これが比較的難航しがちです。メーカーで探す手伝いをしてもらえるとこもあれば、そこまで面倒を見てもらえないこともあるので場合によって違います。
土地だけを別に不動産屋を回って紹介してもらうこともできますし、もちろん私もお探しして紹介することは可能です。(ただ、土地探しだけの場合、お断りする業者も中にはあります)。
いい土地の情報は、出回る前に決まってしまったり、出ても1週間足らずで決まってしまったりと動きが早いです。(業者が買い付ける場合も多いので)
販売されている土地の多くが売れない土地の情報であまり気に入るものに巡り会い難いというとことがあります。
かと言って、いい土地だけ先に見つかっても、土地だけで住宅ローンは組めないので先に買っておくとかは難しいです。 △ 土地だけを購入する場合 △ 参照
ですので、土地にこだわりたい場合はこれというメーカーにこだわらないでいくつか回って希望の場所に土地を持っていれば、そこの建物で良いか検討するくらいがちょうどいいように思います。
逆に、どうしても特定のメーカーで建物を建てたい場合は、プランをがちがちに決めすぎないことです。理想を求めて安易に建物を決めていくとオプション等で建築費用が高額になる場合が多いです。理想の建物をイメージしてしまうとそれを崩すのは難しく、決められた予算の中の建築費用を抜いた分を土地に回すかたちにすると、土地に対して使える費用が少なくなります。
土地は土地で買ったらそのまま建物が建てられるかというとそうではなく、引き込み等なにかしら工事は必要になるので、そのあたりまで想定すると、予算に収まる土地が見つからないという事態にもなりかねません。
ローン審査では、どのような仕様の建物を建てるのか、どのくらいの費用になるのかがあれば審査できるので、完全にプランを決めない方が良いです。
予算の中で、土地見つけて、予算に併せて建物の詳細を詰めていく方が現実的な探し方です。
このあたりのお話は、△ 土地探し △ でより詳しく記載しています。
注文住宅は、土地に対しての費用・建物建築にかかる費用・完成後の外構工事の費用等、いろいろ費用がかかるので予算の中ですべてを計画的に調整する必要があります。
戸建の新築のもう一つが建売住宅です。
建売業者が土地を購入し、建物を建てて売りに出します。購入すれば住むだけの状態です。
建売業者の建物は、建築済み(予定済み)の為、設計費用がかかりません。大手メーカーの建物に比べて建築費も高くないので、比較的安価で新築戸建てを手にすることができます。ローコストのメーカーと建築費用は同じくらいかと思います。実際、大手メーカーの建物の方がそこまですごくいいのかについては正直わかりません。逆に建売がダメなのかというのもなんとも言えないところです。建築基準法に則った形で建築されています。実際に大きな地震がありましたが建物が倒壊したという話は特に聞きません。傾いたとかはありますが、それは土地の問題ですし、建売だから土地が手抜きということもないです。設備的には、各設備メーカーのものを入れているので、違いは構造だけですが、それが悪いとも思えません。△ 建物の良し悪し △ については別ページで個人的な考察を記載していますので選ぶ際の参考にして頂ければと思います※あくまで個人の感想です。
ということで、建物にこだわりがないければ、新築建売で十分だと個人的は思います。
建売住宅は、元々、一筆(一つ)の土地だったものを2つ以上に分筆して、建物を建てることが多いので土地は少し小さいことが多いです。その分、土地の価格が抑えられ、良い立地の場所にも購入できる可能性がでてきます。大きなメリットはこの辺りになるかと思います。
これらを踏まえて、次は、【どこで買うか】です。
【何を買うか】とバランスを取ります。