土地を探す上での注意点・解説
家を建てる為の土地が欲しいという方へ土地の説明です。
まず、売りに出ている土地は、同じエリアでも広さの割に価格が安いものや高いものが混在しています。もちろん、安いものが掘り出しものだから買いですよ!というわけもなく安いには理由があります。土地にも相場があり、不動産屋からみて現実的な範囲で安いと思う土地はありますが、投げ売りするような価格のものはありません(よほど購入者がいないエリア以外)。
売却される方もできるだけ高く買って欲しいと思うのは当然で、売り出し時には相場より高く設定することが多いですが、それで売れない場合、現実的に売れる価格まで価格を下げる、それでも売れない場合にさらに下げるという動きになります。下がりきった状態の価格であればお買い得と思うというような感じです。(もちろん下げるまで売れ残っているという点で、どこかに問題がある可能性がありますのでもの次第ではありますが。)
土地の価格が一定ではない理由はどちらかというと上記以外によるところが大きいです。
一般的なサイトで広告が出ている土地は、『造成済みの土地』『建築条件付きの土地』『古屋付きの土地』『古屋解体済みの土地(更地)』『宅地以外の土地(田・畑・山林・雑種地)』あたりに大別できます。
売っている土地を買ったら、その土地にそのまま建物を建築できるわけではありません。
建物を建てる為に必要な状態に持っている為に必要な費用がかかります。早い話、その費用が多くかかるものは、その費用分も、土地の価格を下げないと売れない可能性が高いので価格を下げています。
シンプルに建物を建てる土地として適している状況から書き出すと、
・建物の建築ができる
・ライフラインの引き込みができる
・土地が崩れない
この3点が揃っていれば、ひとまずは建物を建てて問題ないです。その状態に持っていくまでに、土地本体の価格以外でどのくらいかかるかが土地に対しての総費用です。
土地を購入するにあたり、建物を建てることができないようでは話になりません。
用途地域など、お役所の定める制限内であれば通常建築は可能ですが、売りに出ている土地の中には、再建築不可のものもあります。これは、建築基準法の問題で、施行される以前に立っていた建築物はそのまま使用することはできますが、新しく建て替えるのは現行基準に照らして不可という土地です。大体の場合、接道義務を満たしていないことが原因です。問題の解消ができるようなら大抵は売主で問題を解消してから売りに出します。みなみ道路の場合、セットバック部分が必要になるのでその分は考慮して安くなっている。どうしようもないのが再建築不可で売りに出ているイメージです。
ちなみに、接道義務とは、4m以上の道路に2m以上接した土地でなければならないというものです。
土地に挟まれて道路に接していないような場合: 接道される部分を隣の方から購入できるようなら問題は解消できます。(現実的に可能かどうかは現場によります)
古くからある4m未満の道路(建築基準法上の2項道路(42条2項)一般的にみなし道路といわれる道路)にある場合:セットバック(敷地の一部を道路にする)することで、接道条件を満たすことも可能です。セットバック部分は公道扱いになる為、自分の敷地でありながら自由な使用はできません。建築面積にも影響がでますので、建てられる建物に制限がかかります。
売りに出ている土地を大別すると以下のようなものがあります。
『造成済みの土地』
建物を建築できる状態に宅地造成が済んでいる土地です。上下水道の引き込みの有無の確認は必要です。前面道路に配管が通っていれば、敷地内への引き込みの費用がかかるだけです。ガス管は、都市ガスか集合プロパンか、不要な場合はオール電化で建築をすることも可能です。造成地の場合、場所によって盛土・切土が混在しているので、実際の土地がどちらかは確認をした方が良いです。また造成地とは言え、地盤調査がされているかどうかは念の為、確認して下さい。場合によっては、地盤改良工事が必要になることがあります。
『建築条件付きの土地』
業者が宅地造成をして、分譲する場合、自社(協力会社)の建物を建てることを条件に販売する土地です。建築条件はありますが、土地としては相場よりも安い販売価格になっているので、建築メーカーにこだわりが無い場合は、立地重視で選んだ場合お得感があります。建物を建ててもらうことを目的に土地の仕入れ、造成をし販売するので建築条件がついているものを外すことは難しいです。
『古屋付きの土地』・『古屋解体済みの土地(更地)』
すでに建物がある土地なので、再建築不可でなければ建築に問題はありません。建物を解体する必要があるのでその費用は購入者負担です。(売買契約で売主の更地渡しで話ができれば解体費用は売主が持ちますが、その分土地の価格は上がるかと思います。)。解体の場合、建物の撤去費用、土地の形を変える場合に工事費、残土処理費用あたりがかかってきます。大きな庭石などがある場合、処分費用を追加でみた方が良いです。建物があるということで、上下水道の引き込みがある可能性が高いです(古い建物の場合、口径13mmの場合があり、建築メーカーで20mm口径が仕様の場合、少し費用がかかります)また、接道が私道の場合、工事をするにあたり権利者の許可が必要になる場合があります。古い土地の場合、擁壁の状態、境界の確認も必要です。
古屋解体済みの土地は、売主の方で解体まで済ませた状態の宅地です。解体をしているのでその分価格には反映されているかと思います。ただ、基本的に、建物の解体を命じられた場合以外では、土地の上に建物があった方が固定資産税の減額が受けられるので古屋を残しておいたほうがお得な為、わざわざ解体しているというのは早めに手放したいということも考えられます。そういった意味で場合によっては良い条件で購入できるかもしれません。
『宅地以外の土地(田・畑・山林・雑種地)』
宅地に転用できる場合は建物を建てることができます。制限がかかる場合や、そもそも近くまでも配管が通っていないということも多いので、よほどそこに建物を建てたい場合以外は検討はしなくても構わないかと思います。(例えば、水道管が通っている道路が200mであればその間の工事もしなければならない等お金がかかります。)
ポータルサイトで物件を見てみる場合、建築条件付きの土地があればそれを基準に他と見比べるとある程度の費用の目安になります。(相場より安いですが、大掛かりな工事は不要なので目安にしやすいです。個人的なイメージですが、古屋解体済みの土地と建築条件付きの間くらいが適当な価格のイメージです。)
ちなみに、サイトで見た感じ問題のなさそうな土地なのになぜか安いということがあります。この場合も見えないだけで大抵何かしら安い理由が存在します。例えば、お亡くなりになっているとか、接道が2mギリギリとかは今までありました。建物は建てられますが、実際の現地を見てみると2mでは車を通すのはかなり狭く感じます。また左右がブロックで囲まれているとなおさらです。安いと思うものを見つけた場合はひとまず見に行ってみると良いかもしれません。
注文住宅を建てる為の土地の場合
注文住宅を建てる為の土地を探されている場合、建てたい建物が①決まっている②決まっていないで注意点が少しあります。
まず、決まっている場合、建てたい建物が建築できる土地の広さを把握して探す必要があります。土地には、用途地域ごとに建蔽率、容積率が設定されています。建蔽率は土地(敷地面積)に対して何%の建築面積の建物を置けるか、容積率は敷地面積に対して建築できる延床面積の割合です。(防火地域の耐火建築物や敷地が角地の場合等条件を満たすと緩和される場合があります)
このパーセンテージ以内のものでないと建てたい建物は建てられません。
建蔽率=建築面積(1F)÷敷地面積×100
容積率=延床面積(1F+2F)÷敷地面積×100
少なくとも建築プランが決まっている状態であれば、建物の仕様や床面積等を担当に確認して、建築可能な土地の条件を相談してみた方が良いでしょう。もっと言えば、建物を建てるにあたっての制限は他にもあります。(各種建築制限・地区計画等)
気に入った土地があった場合は契約準備をしている間に建築メーカーにも相談をした方が良いでしょう。
土地の契約にあたって不動産業者は土地の現状調査をします。(配管や擁壁、境界等の現地の状況や、建築制限にかかわる内容の調査)
契約にあたって、重要事項説明でそのあたりの状況の説明をしますので、その資料を見てもらうか、建築メーカーにも調査してもらう等の対応はした方が間違いはないかと思います。
土地についての補足 ~ 擁壁 ~
新しく宅地造成した土地以外では、擁壁にも注意が必要です。
擁壁の設置義務があるのは宅地造成等規制法の区域内が「高さ1m以上の盛土」の場合で、その他の区域は建築基準法により「盛土、切土に関係なく壁高2m以上」の場合です。
建築基準法には高さが2mを超える擁壁を作る際には確認申請を出すことが義務付けられています。
建築基準法が施行される前に作られたものや、確認申請を出したが検査済証など、それを証明する書類がないようなもの(不適格擁壁)もあります。
2m以下の擁壁は確認申請や検査の必要はありませんので、問題ないかどうかは状況を確認する必要があります。(ひび割れ等)
簡単なレベルでの見極めであれば、RC擁壁や間知ブロック擁壁で水抜き穴が設定されているようなものであれば、大丈夫そうかなとは思います。(実際に調べて確認はした方が良いですが)
玉石で組まれた擁壁や、積み増ししているような擁壁(途中から増設されているようなもの)は不安があります。
宅地造成等規制法施行令の擁壁の設置や構造などに関する技術的基準
第6条「鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造又は間知石練積み造その他の練積み造のものとすること」
第10条「壁面の面積3平方メートル以内毎に少なくとも1個の内径7.5cm以上の水抜き穴」の設置が義務があります。